カテゴリ: 治療開始まで

PET-CTの結果説明の日。診察室に入るなり、看護師のユキさんが

「今日はいい報せです!」

と言って、検査機関からの報告書を読み上げてくれました。他臓器への転移は認められない、という内容でした。


その後、ヒロシ先生に交代し、

「誰でも抗がん剤はできればやりたくないものですが、癌と戦っていける段階にいるんだから、副作用は辛いけど、できるだけ規定の回数を最後までできるように頑張りましょう」

とお話がありました。


ということで、翌週から予定どおりの抗がん剤です。私が使用する薬剤は、まずはアンスラサイクリン系、ついでタキサン系、というトリプルネガティブに対しては王道のようなものです。脱毛しにくい抗がん剤もあるようですが、アンスラサイクリン、タキサンともに脱毛率が高いということで全脱毛は免れないようです。

初めのアンスラサイクリンはアドリアシン+シクロホスファミド、いわゆるAC療法。3週間に1回の点滴です。ACは脱毛のほか、吐気・嘔吐、心機能障害が主な副作用で、様子見のため、I病院では、初回投与は通院をよほど強く希望する人以外は数日間入院するんだそうです。私は独居だし投与後家で過ごすのが不安だったので、喜んで入院です。

胸のシコリに気づいて以来、強く落ち込んだりはしないまでもなんとなく気持ちがどんよりしていましたし、この頃には痛み止めがないと寝られないくらいに痛みが強くなって辛かったのですが、この日は入院の説明を受けて、痛み止めのお薬をもらって、スキップしながら帰りました。

CTの数日後、ヒロシ先生の紹介で検査機関に行きました。電車一本で行ける距離だし、朝ご飯を抜くだけだし、楽勝!と思っていたら、普段から通勤ラッシュ時の満員電車に乗り慣れていないので、座れないし近くの人と触れるし色んな匂いが混じり合ってるし、で気持ち悪くなってしまいました。


さて、検査機関では予め説明されたスケジュールどおりに進みます。
身体測定、医師問診、検査着に着替え、水を飲む、血糖値測定と検査薬の注射、60分の安静、そして撮影です。血糖値が118と高くて驚いたこと以外は至って順調です。


撮影自体は前回のCT同様ただ寝ているだけ、むしろ息を止める指示とかがない分もっと楽だし、薬剤が回るまでの60分の安静でウトウトしていたのもあって、撮影中もほとんど夢の中でした。

ここでは撮影だけで、結果の説明はヒロシ先生から後日なので、受付から会計まで2時間少々で終了。3万円近くするのでクレジットカードが使えて本当に助かります。I病院はカード不可なので、これからの治療で毎回数万円握りしめて行くのが少々不安です。


朝ご飯を抜いていたので、昼はガッツリとコメダ珈琲のピザトースト。前に『YOUは何しに日本へ』で紹介されているのを見て、食べてみたかったのです。パンとパンの間に玉子サラダがぎっしり挟んであって本当にガッツリでした。美味しかったです。



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CT撮影から食事休憩をはさんで結果説明です。
ヒロシ先生の表情はなんだか話しにくそうです。

「先日のエコーでも確認したとおり、腋窩リンパ節は大きい転移がありますが、胸骨近くのここ、この大きなものはリンパ節転移のようです。そうするとステージは3cとなります」

「それから、前回調べた腫瘍マーカー、特別高いというほどの数値ではないが、基準値は大きく超えており、初期の患者さんはあまり反応しない項目なので気になります。他臓器転移は、可能性が高いとまでは思いませんが、仮に転移があればステージ4となります」


早急にPET−CT検査を受けることになりました。スタッフさんが検査機関に予約の電話をかけてくれている間にもヒロシ先生の話は続きます。


「ステージ3cの場合、前回話した治療方針と、順番としては変更はありません。まずは抗がん剤治療、その効果をみて手術を考えていきます。ステージが変わってもやるべきことは同じだから、頑張っていきましょう」

「ただし他臓器に転移があってステージ4となった場合は、方針が変わります。3cまでなら、とにかく根治目指そうと、使用期間が決まっているからある程度の副作用を我慢してでも強い抗がん剤もやっていくけど、ステージ4になればもう決まった期間というものがないから、使う薬剤も違ってきます」



乳癌になった場合の治療法は自分の中で理想とするものがあったのですが(病気になる前にお勉強)、それらが適応しない段階に既になっていたのです。

癌告知を受けてもそれほど動揺していなかったつもりですが、

癌<術前化学療法<<<<<リンパ節郭清<<<<<<<<<<<<<<<<<ステージ3cか4か(今ココ)

といったところで、この日はさすがに落ち込みました。

ヒロシ先生の初診から数日後、CT撮影の日です。

造影剤の副作用でアレルギーが起こることがあるらしく、私は軽くですが喘息があるので、アレルギーのお薬を予防投与するところからです。

針を何回も刺すのは嫌だけど、点滴の針は刺したまま造影剤に繋ぎ替えるので、痛い目は一度で済みます。

「痛み大丈夫ですか」と看護師さんが聞いてくれて、そんなに痛くなかったので、

「んー、成分献血くらいかなー」と適当に答えると

「そんなに痛かった?」

と言って手元にあった一番太い18Gの針を見せてくれました。

「成分献血はこれより太くて、今日のは24Gだから細いんですよ。成分献血と比べたら全然ですよね」

ああ、だから全然痛くないんですね。すみません、成分献血もそこまで痛いと思ったことがなかったので、あまり痛くないという意味で言ったのですが。


さて、CTはベッドに寝て点滴を刺したままアーチ状の機械をくぐりながら撮影されます。MRIみたいにカプセル状のものを想像してましたが、違うんですね。3往復ほどしたでしょうか。息を吸って〜止めて、と自動音声で指示されるのに従うくらいで特に辛いこともなく終了。

造影剤が体に入ると体が熱く感じること、お手洗いに行きたくなったような感覚になることを事前に聞いていましたが、聞いていたとおりの感じでした。もう、このモゾモゾ感!漏れちゃう!!でも違うらしいし!!!

念のため撮影直前に用を足し、撮影が終わってお手洗いに行きたい感覚があったので行ってみたら、30分ほどしか経っていないのに満タン出ました。
造影剤を排出しやすいよう事前にお茶をたくさん飲むよう言われて飲んでいたので、その効果があったのでしょうね。


↓関係ないけど、前日の出張先で奮発した昼食↓
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↓また糖質↓
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「先生、抗がん剤の前にササッと取っちゃうのはダメですかね、もう早くすっきりしたくて」

「うん、わかりますよ。気持ちはわかります。ただ、先に抗がん剤をやることで小さくなれば乳房温存も検討できるし」

「私、温存は全く希望していないんです。それにこんなに早く大きくなったから、もし抗がん剤の効きが悪くてさらに大きくなったら嫌だなあと。それから、実際痛みがあるから早くおさらばしたいんです」

「わかりますよ。抗がん剤が効かなくて、小さくなるどころか大きくなって取れなくなってしまったら、という心配もありますよね。その可能性は確かにゼロではありませんが、抗がん剤が効かない人は1割ほどですし、投与の度に大きさは確認するし、万一効いていないとなればすぐに手術に切り替えることもできます。とにかく再発したときの治療も考えていかないといけない状況なので。来週にでも始めましょうか」



乳癌界隈で有名な某プラザの先生には一蹴されてしまうところでしょうが、2人のドクターにそう言われるのなら、私はもうヒロシ先生にお任せしようと思いました。

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